【SPR通信12号】 自社でやること 他社に任せること

 自社のコア技術に関わるもの、工程は自社で行い、自社でできないこと、他社でもやれることは他社にお願いすればいい………。この理論もいろいろな経営の本に書かれて、あたりまえのことですが、あまりに漠然として、どこまでが自社でやる範囲かが一見簡単で、社長とかその部門の責任者が直観で決めている場合が多いです。それで将来のその会社の経営力、技術力が決まってしまうといえば過言ではありません。本に書かれていることは、すでに成功してしまった、あとは真似しかない、もう過去のものです。
 一番カッコいい例が、現在の最先端半導体業界のサプライチェーンでしょう。でもそれは、現在に到達するまでには数えきれないほどの失敗した会社のもとで、最適化した結果でしかないし、今も進化し続けてます。
 逆に一番泥臭い例が、日本製鉄であり、いまだに自社で造った設備で原材料から製品まで一貫して自社工場でやってます。何十年も前に中国に技術を教えたけど彼らはまだ追いついていません。何故ならブラックボックスはもちろん、技術として気づかれていない未知のことが製造工程に多く残っているから。自動車用鋼板などのに高級品は日本製鉄でしかできない。そしてあのUSスティールを買収しようとしている。
 普通の小さな会社では、設備費が高すぎて自社では到底投資しても回収できない場合。まずは自社で必要最小限をやって、その他は他社に外注してあたらしい製品を完成させる…すなわち製品開発期間の短縮との考え方には賛成します。
 しかしそこで思考を止めずに自社ですべてを取り込むように考えるべき、というのが私の考え方です。そうすることで自社のコア技術の隣でキノコの如く別の技術が育ってくるものです。自社で完結できるように考えること、自社にない設備。原材料についてはその仕様、価格体系、入手先の情報は捉えておくこと、前記の“直観”でなく何等かの“基準”(数値でなくてもいい)があれば社員誰もが自社でやることは何かを考えるようになります。製造業ばかりでなく、どの業界でも、そのようなしくみを会社で創ることが重要です。