【SPR通信16号】 ただひたすら信じている、経営における“質量保存の法則”
これは、中学の理科や高校の化学で学ぶ、『化学変化の前後での物質の質量の合計は変わらない』という原則であり、忘れた方も含めて大多数の方が習ったことだと思います。
私個人としては、「自分自身に投資したことはいつか実り、決して無駄なことはない」という考え方でもあり、会社の経営においても 研究開発、技術開発した投資は決して無駄なことはなく、自社に還元されるものとずっと信じてきました。ただ有価証券や不動産、設備投資のように目に見えるものではないだけで、経営者や従業員の行動様式、経験値として存在し、ある日それが別の形で現れるだけなのです。投資回収の時間効率だけから判断するとリスクは高くなるから、大きな会社ほど、近頃はリスク回避が当然とばかりに設備投資、開発投資には慎重になっています。だからこそ小さな会社はチャンス。自社の専門領域での経営者の勘はいま流行りのAIも追いつけないほど当たるから、資金に余裕があれば投資したら会社の価値は上がっていくものです。
30年前に、ある会社は、自社の工場を閉鎖して中国に進出して、そこで造ったものを安く買いました。競合の会社は海外進出を少し控えて、国内自社で最新型の設備を投資して生産を続けました。今現在の状況で判断すると日本の中国から撤退していますが、まだそんな状況になっていない10年前に私が評価したことは“少なくとも自社で稼働した場合、そのための人材が育つ分、国内投資が正解では”との考え方でした。化学反応でいうと、前者は気体ができて、中国に飛んで行った。後者は固体のまま、国内の自社工場に残った という当たり前のことです。
どちらがいいか、これもそのときの社長、経営者の考え方次第です。
